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【000686】 仙台・名古屋フェリーの旅
2002/11/2(土)07:46 - ユースケ ()

1.エピローグ
10月吉日、金曜日に仙台、翌月曜日に名古屋に行く機会を得たが、土・日に東京に戻るのでは能が
ない。一時は、まだ見ぬ秋田に行き、日本海廻りで名古屋に行くことも考えたが、フェリーのサイ
トを見て、「これだ」と思った。
利用したのは太平洋フェリー「いしかり」。12:20に仙台港を出航、翌朝9:20に名古屋港に着岸。
21時間の船旅である。

2.チケット入手
出発50日前、太平洋フェリーに電話を入れる(予約は2ヶ月前から)。あっさりスイートがとれ、
住所と名前を告げ電話を切る。数日後、フェリー会社から振り込み用紙が郵送されてきた。そこに
は、船のパンフと、乗船2週間前までに振り込むようメッセージがあった。2人で31,900円、クル
ーズパック朝食付き。これは、新幹線で移動するより安い。

3.乗船まで
仙台のホテルを10時にチェックアウトし、「多賀城」へ。ここからタクシーで仙台港フェリー乗り
場に向かう。到着は11時少し前、直ちに乗船手続きを行う。案の定、個室は全て満室であった。
乗船は出航30分前。1時間近く待合室で待たされたが、ふと、船のデッキを見ると既に乗客が乗っ
ている。それもそのはず、この船は苫小牧発、仙台寄港、名古屋行きである。すなわち、苫小牧か
らの乗客が乗っていたのである。仙台からの乗客は部屋の清掃がすむまで、ここで待たされる。

4.スイート船室
乗船開始。特等以上の乗客は、アテンダント氏が荷物を持って部屋に案内してくれる。スイート船
室に入室。早速、船室内をチェックした。
(1)部屋の広さ
いつも巻尺を鞄に入れている。部屋の広さは7.6×4.8m=36平米(浴室を含む)。これは、名古屋
で泊まった外資系高級ホテルに勝る広さである。
(2)ホームバー
ドリップコーヒーが2人分(無料)と湯沸かし器がある。冷蔵庫には、缶ビール、缶コーヒー、ソ
フトドリンク類が揃っている。これらは有料だが、驚いたのは、ちまたの自販機で売られている値
段と同じである。何と良心的だろう。これなら、安心して全部飲めると思った。
(3)リビング
L字型のソファーと1人用ソファーが2つ。これで8人は座れるだろう。2人では広すぎる。
(4)ベッド
110cm幅×195cm長のツインベッド。これだけ広い部屋なのに、ベッドは少し狭いと思った。これは
他の船室とベッドの大きさを統一し、リネン作業を効率化するための処置だろうと推測する。
(5)浴室
ユニットバスではない。れっきとしたセパレートタイプのバスルームであり、バスタブは広い。ト
イレはシャワー型。高級感が漂う浴室である。ちなみに、必要なアメニティは全て揃っている。ヘ
アードライヤも完備である。

5.出航から着岸まで
ドラが鳴る。21時間の船旅の始まりである。実は、本物のドラではなく、スピーカーから聞こえて
くる。なかなかの演出である。以下、長くなるので、気づいた点だけをお話しします。
(1)「きたかみ」とのすれ違い
14:40、太平洋フェリーの姉妹船「きたかみ」とすれ違う。それも、遠くの方ですれ違うのではな
く、すぐ近くですれ違う。長さ200m、14,000トンの船体を外から見ると、改めて、船の巨大さを
実感する。あっという間の出来事だが、互いに手を振りながら、和やかなひとときであった。
(2)携帯電話
陸までの距離はどのくらいあるだろう。携帯電話は届かないはずである。さにあらず、ちゃんと届
くのである。実は、甲板に携帯電話の送受信機が設置してある。
(3)テレビ
衛星放送と船内ビデオ2波が受信できる。地上放送は港近くだけ受信可能。
(4)深夜の鳩
深夜の甲板は怖い。真っ黒な海と船が作る白波。落ちたらひとたまりもないだろう。ふと、舳尻の
手すりを見ると、どこから来たのか1羽の鳩がとまっている。「そっとしておこう」。深夜である
し、それに鳩は眼が見えるだろうか。見えたにせよ、陸と反対の方向に飛んでいったら、そこは果
てしなく広がる太平洋、死を意味する。名古屋まで、そこにいてほしい。
(5)夜景
スイート船室は操舵室の真下にある。深夜、目が覚めた。ふと窓の外を見ると、海岸線の灯りが美
しい。灯台が見える。時間的には静岡県御前崎の灯台だろう。船は、まっすぐその灯台の方向に進
んで行く。船長になった気分である。

6.プロローグ
この日は、ほとんど曇りで波静かであった。多少のローリングがあるにせよ、それも船旅を実感す
るに心地よい。フェリーの旅は、ゆっくりとゆっくり時間が流れる。明るい時間帯に眠ってしまい
心残りであったが、「豪華」という名にふさわしい船旅であった。次に北海道に行く機会があれば
名古屋から苫小牧まで2泊かけて乗ってみたい。もちろん、帰りは「北斗星」である。

乱文乱筆、長文で失礼しました。
スイート船室の写真を画像掲示板No.953に掲載しました。


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